2015年2月26日木曜日

貴重なストック グルツェシュ2日前の行事


ストック グルツェシュは年に一度、ストックゴンパで行われるお祭りです。そのお祭りと深いつながりがあるのが、私たちの住むスプンルール コミュニティの小さなお堂・ラガンです。ここには、ストック グルツェシュにて現れる二人の精霊ラーが描かれたタンカがあり、昔からこのラガンがラーを憑依させたり、抜いたりする場所として使われて来ています。

そして、雪の降る2/25。つまりグルツェシュの2日前。前段階行事のひとつとして、ゴンパで憑依した精霊ラーが、村のお付きの人たちと一緒にこのラガンに来て、最後はここで精霊を抜くという行事が行われる日です。

今か今かと待ち構えていたところ、いよいよ、遠くから太鼓の音が聞こえてきました!それがだんだんと近づいてきます。いよいよ精霊ラーのお出ましです!

先頭はダマンと呼ばれる楽師の人たち。彼らが奏でる太鼓の音と共に、男性による付き人とゴバという村の長。続いて精霊ラーが憑依した状態で二人。その後ろを精霊ラーを見たい見物人たちが後を追って、ぞろぞろとやってきました。

私は自宅三階のテラスからこっそり見ながら、目立たないように撮影しました。本当は精霊ラーの撮影は禁止されていますが、何だかんだ、みんなこっそり撮影してるので、私もチャレンジ。

ハァー!ハァー!と威勢良く、力を見せつけるように精霊ラーがいます!やはり、生で見てみると、ラーは怖い、という感情が先立ちます。


雪は容赦なく降っています。太鼓の音が鳴り響く中、ラガンに着いた精霊ラーたち一行。ラーは屋根部分にも登り、剣を振りかざしながら、威勢良く動きまわります!力を見せつけて、皆に言うことをきかせるのです。見ている子どもたちは恐怖の絶頂でしょう。

本来は禁止されている撮影ですので、ネット上でのUPは控えることにします。上の写真はかなり遠目なので、よしとてUPしました。やはり本当に見たい方は、生で見ていただきたいです。

さて、一通り終えて、精霊ラーが抜けた状態で一行がゴンパへ帰っていきます。ちなみにこの撮影は大丈夫です。肩から布らしきものをかけた二人が精霊ラーを憑依させたOracleです。行きとは裏腹に静かな一行です。


ついに、雪ヒョウの撮影に成功!!

『雪ヒョウを探して』



何度も何度も山に入り、雪ヒョウの足跡を探し、追跡した。
相手は生きている野生の雪ヒョウ。
そう簡単に姿を見せてはくれない。
何度となく無駄足を踏みながらも諦めず、
雪ヒョウを見たい一心で真冬の山を歩いた。
山の静けさと暗闇、狼の足跡に恐怖を覚えながら。
それでも、追跡すればするほど、だんだんと近づいて来ている気がした。
諦めなかった。

そして、ついに足跡の先に何か動くものを見つけた!
一瞬、太い蛇が這っているのかと思ったが、それはシッポだった。
その直後、視覚が全体像をつかみ始める。
そこにいたのは、まぎれもなく雪ヒョウだった!



雪に映えるその美しい姿…。
雪ヒョウを見つけた喜びで興奮していたが、
同時に野生動物たるものへの恐怖心も込み上げてきた。
両者が入り混じった妙な興奮が自分の中で起きている。
やっとファインダーを覗くが、シャッターをきる手が震えていた。

そのうち雪ヒョウもこちらの存在に気づいた。
警戒はしているようだが、逃げたりはしない。
様子を伺っている鋭い目。
危険はないと判断したように、再び崖を登りはじめる雪ヒョウ。
崖の一番天辺まで来ると、猫のように地べたに身体を横たわらせた。
太陽の温かさに包まれるように。

空の青と雪の白。この二つのコントラストに雪ヒョウが浮かんだ。
そして、またこちらの様子を伺うように見ている。



しばらく続いた雪ヒョウと自分の対話。
こっちはお前を襲おうなんて考えてもいない。
お前も俺の血を吸おうなんて考えていないはずだ。
歴史的にも雪ヒョウが人を襲った記録はないと言う。
お前の近くにいたい気持ちもあるが、踏み込んではいけない自然界への境界線も意識にある。
相対する感情が交差しながらも、シャッターをきる。 
そのうち雪ヒョウは警戒もせず、居眠りをはじめた。
ふと我に返って下を見ると、遥か下方に自分のテントが見えた。
足跡を辿って随分上まで登ってきたのだった。

雪ヒョウは10分くらい寝ていただろうか。
こちらの動きを見て、いよいよ警戒したのかもしれない。
スクっと立ち上がり、こちらに背中を向けた。
雪ヒョウはゆっくりと歩き出し、崖の向こう側へと消えていった。

しばし雪ヒョウと共有した時間。
お互いを認めたような不思議な感覚が残っている。
もし雪ヒョウもそれを楽しんでいたとしたら、
最後に、あの太いしっぽで、”サヨナラ”と言ってくれたのかもしれない。


また会おう。


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Photography   STANZIN WANGBO
FEB. 2015

※雪ヒョウの写真はサイズを縮小しています

2015年2月21日土曜日

雪のトレッキング&雪ヒョウ探し!


昨夜から今日にかけて、久々にまとまった雪が降りました。そんな日ではありましたが、ワンボと娘と愛犬の空人はストックの奥にトレッキングに出かけ、テントで泊まってきました。三人は雪ヒョウを探しに行ったのですが、今回は残念ながら目撃はできませんでした(^^;;


積もった雪はサラサラ雪ですが、雪だるまを作りたくてしょうがないのです。


お留守番の私ですが、村でも5cm以上は積もってました。久々の雪は気持ちがいいです。すぐに溶けないで残ってくれたらいいのになぁと思ってしまいます。

さて、雪ヒョウですが、よく徘徊するテリトリーはつかめてるし、足跡もいっぱい見つけてるので、あとはタイミングさえ良ければ目撃できるはずなんですが…。ただ、数日前、やはり雪ヒョウを探しにキャンプをしていた別のツーリストグループは目撃したという情報が入っております!最近はまさに雪ヒョウ探しのシーズンですので、他にもルンバクやストックにツアーが来ています。私たちももう一踏ん張り、じっくり観察します。やっぱり見たいですからね!




2015年2月19日木曜日

ドスモチェ その②


子守の私とは別に、ワンボが近くから写真を撮ったので、追加します。買い物やカードゲームをしている人ごみの中を、この仮面たちの一行が通り過ぎていったのでした。心なしか、数年前に見た時より、一行が縮小されているような気がしましたが気のせいでしょうか…?

このドスモチェでは、糸で作られたドと言うストルマの一部をもらうと、福があると言われているので、この一行を追いかけて、どうにかもらおうとする人たちが数年前はたくさんいました。今年はどうだったのでしょうか!? 時代と共にこういうものの価値が下がってしまってはないか、少々心配もしちゃってますが、物事の変化を恐れては前に進めないので、あまりノスタルジックになるのも気をつけよう、なんて考えてもいる今日この頃です。

レーのドスモチェ 2日目!


レーの町のメインバザール。毎年2.3月頃に開催されるドスモチェの二日目は、一日目よりは人出が少ないと言ってましたが、それでも人、人、人です。私たちは、赤ちゃん連れでもあるので、砂埃の舞うこの人ごみのメインバザールを長く歩く気もせず、自分たちのオフィスに避難して、上から見ることにしました。

仏教的な行事ですので、レーパレスのすぐ下にあるゴンパで仮面舞踏が行なわれ、厄除け的な意味合いのあるストルマの儀式が行なわれます。

が、そこから出発した仮面を被った僧侶たちや、ストルマそのものが運ばれてくる以外は、写真のようにメインバザールはほぼ、安売りマーケット祭か、ギャンブル パークみたいなものになっています。写真の一番手前、白いテーブルみたいな所に集まる人たちが分かるでしょうか。カードゲームをしている人だかりが、ずっと続いています。男性しかいませんが、それはもうすごい人だかりです。

正直、大きくて有名なゴンパで行なわれる仮面舞踏のチャム、神降ろしの行事があったとしても、会場となるゴンパの下や脇では、必ずこのギャンブル広場が繰り広げられているのです。それはまさに、俗世間と神聖な世界のコントラスト。しいていえば、これこそがリアルな世界というべきでしょうか。


午後2時過ぎ、一通り儀式などを終えた僧侶たちや仮面を被った僧侶、厄除けのストルマの一行がいよいよメインバザールに来ました!
さすがにそれらに手を合わせる人たちがラインを作り始めたのですが、カードゲームをしている人たちの手は止まりません。汗

一行を全く無視して、ゲームをしている人たちの姿…。場合によっては仏教徒でないか、或いは一行に価値を求めない人たちか…。ちょっとびっくりもしましたが、まあ、そんなのも現実です。悪いとかいいとか、簡単に言えるものでもないですね。

今年は、私たちはゴンパまで行けませんでしたので、どんな儀式が行なわれているか知りたい方は、このブログにも2011年の3月に行なわれたドスモチェリポートがありますので、ご参考にして下さいね。