2011年12月13日火曜日

かりん「お月様コワレチャッタ~!」皆既月食

ネット環境がなかなか整わないストック。
そして新聞など当然配達されないストック。
テレビのニュースは見れるけど、時々衛星の電波が乱れるストック。

暗くなりかけた頃、ものすごい月光を放っていた月をバックにかりん

12/10の皆既月食があったことを、事前にニュースで私たちは知る由もなかった。
しかし、この日の夕方、妙に明るい月が、まだ完全には暗くなる前からものすごい光を放っていた。それを見て私たちは大騒ぎ。何かと写真におさめる私を知ってか、かりんが「写真とって~」とせがんだ。その台詞に大笑いしながら月をバックに写真を撮影。写真とってとせがまれたのは初めてのことで驚いてもいた。

そもそも、この月のすごさから何かが違っていたのだけは察知していました。

そして、この日はコミュニティーの「マネ・ツァクツェス」の日。
みんな集まって一緒にお数珠のマネやら、マネ車を回して数えてそれを集計するという行事の二日目でした。今日は、とってもいい日だから、お祈りをすればすごい力になる。そんなことを言いながら義母が迎えに来てワンボと一緒に行ってしまいました。

この日、朝からよく分からないけどイライラしていることを認識していた私は、日中もマネに出かけて行ったかりんとワンボを見送ってから、一人でトレッキングルートのほうに歩き出し、別に一緒にやらなくても意味はある、とばかりに一人で歩きながらターコイズのマネ(数珠)を手にオムマネパドメフン・・・を唱えて1時間ほど歩いて折り返してきた。帰りは45分ほどで戻れた。途中、ずいぶんと村に近いところで30頭はかるくいたブルーシープの群れに遭遇。ラッキー!群れは本流の川に水を飲みに来ていた様だった。

歩いたことでイライラは80%くらいは解消されただろうか。今思えば、何かこの月の動き(皆既月食)に左右されてのことだったのか。決して月経前症候群というような時期でもないのだけど。女性の身体なら在りうるかもしれない。だって、満月には出産さえ誘発されるのだ。

夜、かりんと私は二人で一緒に過ごしながら、皆既月食のことなど知らずにいた。野菜たっぷりのトマトスープを作っていたら、かりんがオシッコしたいと言う。3階の部屋に移っている私たちは一度外に出ないとトイレには行けない。かりんと一緒に手をつないで外に出たら、なんと、月の左下が妙な形でかけているというか、黒くなっている。珍しく真っ黒の雲がかかってしまったのかと思って自分を納得させると、かりんが一言。
「お月様、コワレチャッタ~!」

・・・。とっさに私は、あれは黒い雲がかかってるんだよ。絵本にあったでしょ。雲さんがお月様とお話してるんだよ。あとでまたどいてくれるよ。

今思えば大人の私よりも、子どものかりんの言うことの方が正しかった!彼女は完全にいつもの月とは違うことを察知していたのだ。大人は勝手に何かと都合のいい理由をつけてしまう。

ご飯ができてやっと食べ始めた。ここ数日で12月らしい寒さになってきたので、こんな野菜スープは温まってありがたい。かりんがものすごい勢いでいっぱい食べた。よほどおいしかったと見えて、母としても満足。

食後間もなく、またオシッコしたいというかりん。「なんで、おしっこいっぱい出るのかなぁ??」と言う。最近、何かとこの「なんで??」が増えた。しょうがないので、いつも作って飲んでいる野草茶(日本殻持ってきた特別のお茶!)が利尿作用が高いので、野草茶飲んでるからだよ。と言って納得させている。
一緒に外に出ると、そこにはさっきとはまた違った、今度は綺麗な「三日月」がもっと高い位置に見えた。
今日の月は何か変じゃない?というか、多分、ワンボがいたら、もう少し何かこれをちゃんと理解していたかもしれない。でも、こういう時に頭の回らない私は、はじめは満月で、そして壊れたように欠けた月になり、そして今は綺麗な三日月。これをもっても何も察しないのである・・・。今考えると恥ずかしい。
のん気に、「今度は三日月だね~!」だとも言い放っていた。母は何も分かってはいない。どう考えてもおかしいだろう・・・。

そして、いよいよ11時の送電終了前。寝る前にもう一回オシッコ~。と言うかりん。すでに子供は皆既月食と共にあるかのように、オシッコと観測をしていた。
すでに満月に戻った月が更に高いところに見えた。相変わらずすごい月光を放っている。

この時点で母は気がつかなければならなかった。欠けた月がまた満月に戻るってことが通常あるわけがない。イライラが起こるほど何かの作用を身体は感じているのに、理論的にこの現象を解明できていないのだ。困ったものである・・・。

ワンボがマネを終えて勢いよく帰ってきた。そして、開口一番こう言った。
「今日は皆既月食だったんだよ!見た??」

遅すぎる報告であった。
かりんは子どもながらにその現象を察知していたのに、私は目の前で起こっているそれを完全に見逃していたのだ。情けない・・・。
つまり、当然ながら月が全部が隠れた状態を全く見なかったのだ。残念すぎる。

もちろん、ワンボもマネに集中していて見てはいない。
ただ、ラダックではこの現象を科学的に理解していない人がまだ多く、あれは悪魔が月を食べているのだと言って、怖がったり、良くないとしていると言うのだ。
マネの傍ら自分の弟までもがその話に加わって、科学的真相を知らないのを見て、ワンボはいてもたってもいられず、紙に書いて図解で説明してきたと言う。
何だよ、学があるからって・・・、そんな説明してくれるなよ・・・。説明されれば理解できるくらいの頭はある弟は弱った顔で言ったそうだ。憎めないおもしろい弟だ。

それにしても、
「お月様、コワレチャッタ~!」

私はこの娘のことばを決して忘れられないだろう。なぜなら、私よりもちゃんと、この現象を理解していた証拠なのだから。まったく頭が上がらない・・・・。

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