Our Project


Nyamshan/Old House


Reviving the essence of ABANDONED old house in Ladakh.

~ラダックの捨てられた古民家の重要性を取り戻す~

 古民家復活プロジェクト


ラダックの発展

 ラダックは、1974年に外国人の入域が許可されてから、インドの全体的な動きとは別に、独自の流れで西洋化してきました。西洋の観光客が話す英語にはじまり、ファッションや消費文化など、多くの影響をラダックにもたらしました。これは、欧米の方ばかり見てきた私自身や多くの日本人と重なる部分があり理解しやすいでしょう。ラダックもまた、自らの伝統的な文化を恥じたりしながら、新しいものになろうとしてきた経緯があると感じます。

 また、90年代以降のインドの経済発展にともなっては、ラダックもそれまで以上にインド社会に組み込まれていくといった動きも見て取れると思います。少なくとも、民族的にはチベット系であるラダック人は、インドの多数派であるアーリヤ系インド人やドラビダ系インド人とは全く異なる民族性と、文化、言語、宗教をもっています。でも、国としてはインドの中にありますので、インド社会のシステムにのっとって生きていくことが求められています。
 そこで、多くのラダックの人が英語やヒンディー語を使いこなし、実際にインド社会で働いて生きていくことが人生の選択肢の一つになっています。これは物理的に、ラダック外のインドのどこかで生活することも含みますし、ラダック内であってもラダックに進出しているインドの会社、または外資系との合弁会社を含みます。もちろん、なんと言っても政府系の職業はもっとも安定している職業の一つですので、多くの人が就職したがりますし、軍隊で働くことも以前からその一つです。

 こうして、ラダックの伝統文化を捨て、大きな経済の流れに身をおくことが不可欠になりましたが、結果的に発展を遂げたことは確かですので、レーの街を中心に非常に豊かになってきています。


マイホーム建築ラッシュ

 レーから15kmという近さにあるストック村でも、この発展は見て取ることができます。2007年に自宅を増築途中だった夫の実家宅は、2009年に行ってみると見違えるように新しくなっていたので驚きました。このように、レーや近郊の村を中心に、家を建てている軒数は非常に多く、新築ラッシュであると言えるでしょう。

 また、家のデザインは現代的になり、窓が大きく作られ、内装では木目の合板使いが多くなり、ラダック伝統の土壁にセメントを覆うようになっています。こうした家の建材は、伝統的にラダックで得られる素材、例えば壁に使う土やそれに混ぜる麦の干し草、壁の表面に塗る漆喰のような白い塗料などを使ったものではなく、ラダック外部より取り寄せなければ手に入らないものが使われるようになっています。
 更に、ラダックでは伝統的に粘土のレンガを自ら作り、それを積み重ねるなど、建築の大半を自ら担ってきましたが、今は多くの場合、外部のネパール人やビハールからの出稼ぎ労働者を雇うようにもなってきました。

 では、その新築ラッシュであるラダックの家というものが、伝統的にはどうあって今はどうなったのかを比べてみましょう。

 
伝統的な家

 その昔、ラダックではコミュニティー同士で隣合わせに、一箇所に集まるような形で家を建てて住んでいました。それは、山岳部という条件において、かつては盗賊などがいましたので、集団を作ってお互いを守るためでもありました。また、大変厳しい自然条件ですので、限られた耕作地を農業用地として最大限に利用するために、農業には適さない不毛な土地にこそ家を建ててきたのだそうです。ですので、例えば崖っぷちであったり、緑のない小高い丘の上に集落があったりしたのです。

 しかし、近年の発展に伴っては、盗賊から身を守る必要はなくなり、当然ながら個人主義も進みました。また、自給自足的な生活基盤が現金収入を中心とした生活へと変化したことにより、農業そのものの必要性が低下し、生産量が落ちても暮らしていけるようにもなりました。むしろ最近では、人々にとって就学や就労の方が大切になり、農業の担い手が減り、人手不足という現実が出てきています。そこで収穫などの農繁期には労働者を雇ったりするので、かえって費用がかかるようにもなています。こういった背景からしても、以前は貴重であった畑をつぶして家を建てることに抵抗がなくなって来ているとも言えるでしょう。

 更に、その昔は当たり前であった「一妻多夫」のシステムが近年ではなくなりつつあります。このシステムは複数の兄弟を夫として迎えても、女性が生める子どもの数には限りがあることから、人口抑制につながるという利点があったそうですし、複数の兄弟が一つの家族として存在することによって、限られた土地を分配せずにすむ、つまり財産が分配されて減っていくことを防ぐことにもつながっていたそうです。

 しかし、この一妻多夫のシステムが終わり、複数の兄弟がそれぞれに結婚していくということは、財産の分配をしなければならないということです。こうして現在では、子どもの数だけ家を作って与えるのが親の責任にもなりつつあり、親が与えられなくても、土地をもらう権利があり、子どもが自ら家を作るということもあります。

 こうして、貴重であった畑をつぶして新しい家を建てることが普通になっていきました。

  
 このような経緯を踏まえると、私たちも何も考えずに家を建てることに、どうしても躊躇があります…。最近も地元のラジオ番組で、家と土地の利用の仕方について現状を問題視するような話題が取り上げれれていて、今のラダックを象徴する問題となってきています。


古民家の復活を

 そこで考えたのが、捨てられた古い家の復活です。
 
 夫の実家も、全く上記の通りの流れの中で古い家を捨てて新しい家を作ってきました。長い年月を遡ってみると、ワンボの父の世代はコミュニティーで集合していた頃の家で生まれています。その家はもう既に跡形もありませんが、まだまだ貧しくもあった時代ですので、小さな家に大人数住んでいたのでしょう。

 その次に建てた家は、当時の伝統的な要素と古きよきモダンな要素で作られていて、ワンボが生まれた家でもあります。この家が建てられた頃には、比較的大きな農家の家といった感じになっています。

 そしてその後、更に現在の新しい家が作られたのです。つまり約60年ほどの間に3つの家が存在しています。これは、ラダックの家の素材や作りがそこまで長い年月の耐久性を持たないという部分もあるかもしれませんが、やはりそれだけ時代が変化し、発展してきたということでもあると思います。

 現在、その伝統的な古い家はそのままになっています。しかしこの古い家には、文化的な遺産がたくさん残っています。昔ながらの土壁やすすで真っ黒になった木の天井、伝統的な調理用ストーブ、食物倉庫、家畜小屋などなど。

 しかし、数年来使っていませんので修理しなければとてもすぐには住めません。が、修理さえすればまだ住める状態です。
 
 このような文化的遺産をそのまま捨てておくのは、あまりにももったいないことです。立地や機能性を考えれば、確かに新しい家には多くの利点もあります。しかし、ラダックが現代的な豊かさへまっしぐらに進んでいくのを目の当たりにしながら、私たちはちょっと踏みとどまってみたい、と考えました。もう少しゆっくり歩んで行こうと。せめて、まだ使える家をもう少し大切にしてみることから…。


 また、こういった伝統的なものの価値は、伝統を失う危機を自らも抱えてきたり、見てきた経験のある外国人の方が理解しているとも言えます。多くのツーリストが伝統的なものを高く評価していますし、それを大切にするように訴える声が多く聞こえます。こういった外国人ツーリストのためにもこの古民家をシェアできたらと思い、全面的にホームステイを受け入れたいと思っています。


古民家の修理とホームステイ

 2011年の春より、古い家の修理に入る準備をしています。ラダックの素晴らしい夏のシーズンまでには、訪れてくれた方々の宿泊が可能なようにできたらと思っていますが、もし古い家の修理が完成に至らない場合でも、古い家の様子など見学は可能です。

 また、滞在内容や目的、お好みによっては新しい家での宿泊の方が相応しい場合もあると思います。こちらも併せて歓迎ですのでアレンジいたします。

 家族やコミュニティー全体でみなさんの滞在をサポートしますので、ラダックの農家の生活がどんなものであるか、見学したり体験したりして頂けるようプログラムを考えています。新旧どちらの家に滞在してもそれらは充分に味わっていただけるでしょう。もちろん、こちらでの宿泊を拠点にラダックの観光も楽しむのもいいでしょう。
 
 伝統的な家の復活にご理解をいただき、多くの方々とこのプロジェクトをシェアしていけたらと思っています。アドバイスやご意見などありましたら、どうぞお気軽にご連絡くださいませ。


 Life was simple then,
 Things got changed,
 With the arrival of modernization,
 Life became hard and old things got devalued and forgotten,
 But Neo-Ladakh is trying to revive some of the essence back to life.


 Come and experience the Home stay in Ladakhi way,
 In an abandoned old fashioned house in Stok.
 Join us to enjoy and your stay in Ladakh.
   Waiting to serve you here in our home! 


   You can also experience Ladakhi farming and farmer’s life with us.




 昔ながらのシンプルな生活様式は近代化と共に変容し、
 古い物の価値が失われ、そして忘れ去られていってしまいました。
 そこで私たちは、良質な古い物の重要性を復活させたいと思っています。
 
   ラダックのストック村にて、伝統的な古民家でホームステイをして、
 その醍醐味を味わってみませんか!?
 ラダックの農村生活を、めいいっぱいガイドさせていただきます。