2011年4月10日日曜日

3年に一度切る柳の木の枝

ストックの古い家の周りには柳の木がたくさん生えています。
3~4月、まだ葉が映える前の枝。手前の下にあるのが切った枝です。

お爺ちゃんたちがノコギリで一本一本切っていきます。
細いものはバキバキ折ってもいました。

切った木を新しい家の庭まで運びます。
作業の途中で休憩しているお婆ちゃんと花凛。
チャイを飲んでタギ(ラダック風パン)を食べているところ。
お茶を左側にあるカゴ(ツェポ)に入れて持ってきました。

青空をバックにお爺ちゃんも休憩。キマッてます!
飲んでいるのはラダックの大麦で作った濁酒「チャン」
そんなにアルコール度数は強くはなく、エネルギー補給でもあります。

柳の枝は実際にこんな風に天井に張り渡す木として使います。
この細い方が柳の枝。太いほうがポプラの木。

3月初旬、ラダックが春らしく暖かくなって久しい頃、レーの郊外ではやけにポプラの木や柳の木を切っているお家が多くなりました。暖かくなった今になって、まさか薪にするため!?そうではありません。これはラダックの伝統的な家を作る際に、天井に使うための木材として切っているのです。

そうは言っても、その頃のストックではその作業の気配すらありませんでした。そうしたら、3月の下旬になってストックに行ったとき、畑仕事の開始ともに柳の木を切る作業が始まりました。さて、いったいこの半月近い時差は何だろうと、叔父と祖父に聞いてみました。それはなんと「水」が理由でした。

祖父曰く。

「柳の木を切るのはストックでは3年に一度だよ。だいたい天井に使う木材としてちょうどいい太さになってからだ。もし3年に一度切らなかったら、太くなりすぎて天井の木材としては都合が悪い。今年がちょうどその3年目なんだよ。」

ほほう。ここまで伸びるのに3年もかかるのか。
じゃあ、この3月の終わりに切っているのはどうして??
レーではもっと前に切っていたけど?

叔父が続ける。

「水だよ、水。暖かくなって雪が解けるだろう。更に凍っていた本流の川の水も解ける。いよいよ支流の小さな小川にも水が流れてくるっていう少し前に、柳の木を切るんだ。そうすれば切った柳の木が乾いて枯れてしまわずに、ちゃんと水を吸い上げることができるだろう?」

なるほど~。木のことをちゃんと考えているんだなぁ。ただ建材にするだけじゃなくて、もちろんその後の木がまた生長するためにタイミングを計っていわけだ。納得。

そして、レーというのはストックに比べて陽があたる角度としては最高の向きにある。日照時間も長い。それに比べてストックは太陽を受ける角度が少々悪く、山に囲まれて日の入りも早い。夕方4時ごろストックは陰ってしまっていても、向こう側のレーを見るとまだ陽が当たっているという状態。これらの状況からしても、レーとストックでは雪解けの時期も違ってくるし、畑仕事の速度も変わってくるのです。

そういう話になると、同じラダック内でもだいぶ地域で違いがあります。ストックやレーでもまだ種まきすらしていないのに、シャム地方(レー地域よりも西方の標高が2000m代)では、既に種まきも終えて、麦たちは10cmくらいに伸びてきていると知人から聞きました。シャム地方は二毛作が可能なのです。麦の後に蕎麦の実などを栽培しています。ああ、なんと豊かなのでしょうか。標高が高いというのはやっぱり厳しいものなのです。シャム、そういう意味ではうらやましいです、ほんと。

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