2011年4月20日水曜日

間違ってよその家のロバを・・・

いつも、うつむき加減で哀愁ただようロバ。
素朴で可愛い動物ですが意外と頑固です。
 
こんな黒っぽいのもいますし、ブラウン・グレーみたいのなイプのもいます。

さて、今回は私の失敗談でございます。
私は小さい頃から牛が大好きでした。母の実家である長野のおうちは農家で、昔は牛を4,5頭置いて牛乳を出荷していました。夏休みの長期間にわたり田舎へ預けられると、小学校低学年の当時、近所に同じ年頃の友達もいないので牛ばかり眺めていました。勝手に牛に名前をつけては呼んだりして、また独り言のように牛に話しかけてもいました。今でもその牛の顔を思い出せるくらい牛が好きでした。だから、インドに来て、街の中を牛がたくさん歩いているのが、たまらなく幸せと感じたわけです。

そんな私ですので、ラダックでの家畜の世話が格別に好きです。家にいる家畜のうち、2頭のバラン(牛)、3頭のゾ、1頭のズビ(ゾの子ども)、2頭のベツォ(子牛)、これらの顔だってだいたい認識できていて、外に放してもほぼ見分けがつくので連れて帰ってこれます。

しか~し!
うちにいる5頭のブンブ(ラダック語でロバの意)だけは全く見分けがつかず、私にはいまだに全て同じに見えるのです。そして、先日やらかした失敗とはこういうことでした。

夕方、いつものように義母が家畜に餌を与えたあと私が乳搾りをしました。(乳搾りについてはまた詳しく書きたいと思います!)
そして、いよいよ家畜を全て小屋に入れて作業が終わるのですが、大抵は家畜もお腹が空く夕方くらいになると、ちゃんと自分の家を認識しているので、私たちが迎えに行かなくても門の前などで待機しているのです。でも、時々自ら帰ってこない家畜もいます。そうすると探しに行かなければなりません。

この日も1頭のロバだけ帰ってきませんでした。そして義母が私に言いました。
「一頭だけロバが帰ってこないから、ちょっと探してきて。」
私は一瞬、躊躇しました。私には家のロバの見分けがつかないからです・・・。しかし、既に日は暮れかけていて、他の家の家畜たちもほとんど帰宅したはず。どれだか分からないほどは、もうウロウロしていないだろうと思いました。そこで、言われたがままにロバを1頭探しに行きました。

私はどこに行こうか考えて、当てずっぽうながらちょっとした勘を働かせ、家畜小屋とは反対側になる家の門の方に歩きはじめました。門が見えるところまで来た時、まさに一頭のロバがうつむき加減に立っているのが見えてきました。ちょうど1頭だけがうちの前にいるんだし、このロバで間違えないでしょう!と、私には思えました。ぜんぜん簡単に見つかったわ~!と、そのロバを連れてかえってきました。小屋に入れながら義母も満足そう。遅れて帰ってきたロバにもちゃんと餌を与えてお仕事終了。

そんな訳で一件落着の翌朝。ご飯を食べさせた家畜たちを再び外に放しに行った義母は、1頭のロバの後ろ姿を見てハッとしました。

うちのロバじゃな~い!!

昨日連れてきたロバはよその家のロバだったのです!間違ってよそのうちのロバに、ご丁寧に家のご飯を食べさせて寝かせてしまったのでした!

義母は、誰も見ていないのを確認しながら、そぉっとそのロバを放して知らん振りしたそうです。うちの祖父や義父にも知られないように。ましてやご近所にも!

その日の夕方、再び家畜たちを小屋に入れる作業をしながら義母からこの「ロバ間違え」話を聞かされ、あちゃちゃちゃ~~と苦笑しながら、肩をすくめて母と二人でケタケタ笑っていました。
昨日帰ってこなかったロバ1頭は今日も帰ってきていません。1頭欠けた状態で家畜小屋を閉めて終わろうとした時、母がニヤニヤしながら私に言いました。

「ジグメット(私のラダッキーネーム)、今ちょっと家畜小屋の外を見てごらんなさい。」

言われるがままに小屋の外を見てみると、1頭のロバが家畜小屋の木の扉をガンガンと頭突きしているではありませんか。

「お義母さん、もう一頭のロバ外にいるじゃない。入れていい?」と聞く私。

すると義母が、いかにも私がそう言うと思ったわよ、とでも言いたげに言いました。

「あのロバはね、昨日間違ってあなたが連れてきたロバよ。わかる?昨日うちの干草を食べてさぞかし美味しかったのだろうねぇ。今日もご飯が食べられると思ってここに来ちゃったのよ。」

私は一瞬止まってしまった。そしてやっと事が理解できて「あちゃちゃちゃ・・・」と頭を抱えた。そうなの?そういうことなの?やらかしてしまったわ・・・。
それじゃあ、あのロバはどこの家のロバなのかと聞くと、あれは3軒先のお家のだと言う。昨日の夕方、あそこの息子がロバが1頭帰ってきていないと探していらしい・・・。


修行が足りない外国人ということで、今回は許してもらえたらうれしい。いや、ほんと申し訳ないっ!今後は気をつけますのでどうかお許しを~。

ちなみに、うちのロバはその後3日も帰ってきていません。ぼちぼち心配になってきました。今回のように間違ってどこかでご飯でも食べていればいいのだけど、野犬にでも食べられていたら最悪・・・。どうか早く帰ってきておくれ~。帰ってきたら、まずは君からちゃんと覚えるようにするから~!

以上、ロバとは縁がなかった私の、初心者マークの太鼓判がまさに押された失敗談でございました。

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

その後、ロバは帰ってきましたか?

気になります…

Etsuko Ikeda さんのコメント...

貢さん

さすがにロバのその後、気になりましたか~。あのロバは数日後に戻ってきました!「ワンパクロバ堆肥を運ぶ」で私を困らせたのはそのロバでもあります!つまり、数日間行方をくらませていたのは、発情しての放浪だったのようです。また、うちのロバだとわかる様に赤いリボンをつけました!これでもう間違えることはなくなったよ~!ご心配ありがとう。