2012年5月25日金曜日

NHKニュースについて、補足解説させていただきます。



カットされてしまったストックでのインタビュー

トラックがロバの代わりになっている現状を撮影中
うちのすぐ隣の隣のお宅です

車と人力で運んだ堆肥
実はロバがいない分、堆肥も減ってしまうのです


先日22日のBS1、ラダックのニュースをご覧いただいた方、ありがとうございました。
ロバが可愛そうだったという声や、何か日本と同じ道を歩んでいるようだとか、ご意見やご感想をメールやfacebookでもいただきました。リアクションいただきありがとうございました。

さて、やっとこ私たちも本日ネット上でその編集された内容を見ました!
見ることができなかった方は、こちらにアクセスしてください。

http://www.nhk.or.jp/worldwave/newscafe/index.html
NHK BS1 ワールドwaveニュース

ストック村でインタビューに答えているのはワンボのお爺さんです。ブログなどでもちょくちょく出てきていますので、すっかり顔なじみでしょうか、笑。

かなり簡単な字幕になってしまっていましたが、お爺さんのインタビューを補足しますと・・・、
「ロバはいろんな物を運ぶことができ、ロバなしで仕事は何もできません。」などでした。


正直言いますと、撮影分に比べ、ストックでのシーンはかなり少なかったです。もちろん、レーでのロバの受難や救済活動がメインですのでそうなるのですが、ニュースとしてテレビで放送するのには、それなりの内容にしぼられてしまうのも仕方ないでしょう。

では、なぜロバを手放したり捨ててしまうのか、その理由のひとつとして、ストックにて撮影したけれど使われなかったものを紹介します。

昨年、知人にロバ売ったといううちの近所のお兄さんのインタビューです。

年齢40歳。結婚した際に兄弟で財産を半々に分けた。家畜のロバもゾも一頭づつもらった。作業があると共同で二頭をつかっていました。コミュニティーでロバを使う作業があると、お互いに貸し借りをして頭数を揃えるので、そういった使い方にも参加していた。そして、一緒に作業しながら農作業のスケジュールなどの情報を共有できていた。
しかし、2009年に家の目の前の道が拡張されて、奥の畑まで車が通れるようになった。また、昨年は家の目の前に井戸ができたので、本流の川まで水を汲みに行く必要がなくなった。
これらの流れを受けて、収穫した麦を運ぶのにロバではなくトラックでできるようになったし、井戸のおかげで水をロバに運ばせる必要もなくなった。
自分たちの足としても、農作業もろもろ、また運送業にも使えるトラックを数年前に購入して使い始めた。
ロバは1500ルピー/一頭でストックの知人に売った。今年、つい先日更にトラックを買い換えた。金額はロバとは比較にならない100万円以上。でも、このトラックでの運送業で収入が見込める。

ロバがもし食肉として食べられたら、また搾乳してミルクを飲めたりしたら、もう少し価値があったかもしれないかと聞くと、確かにそうだと答えた。
今でも牛は牛乳が取れるから家畜として置いているが、ゾも売ってしまっている。トラクターで耕作をするようになっている。

トラックやトラクターの導入により、あきらかに短時間で作業を終わらせられる。トラックであっても、隣近所での共同作業一応は少々している。しかし、もっと多くの人たちと共同作業する楽しみ、または情報交換の場として参加しなくなったことは寂しいことだと思っている。

しかし、祖父母もすでにいなく、核家族のような状態。子どもも就学中で絶対数も少ないので、機械化が兼業農家という状態を助けている。

以上 重要な項目のみピックアップしました。

このインタビューの後、トラックでの堆肥運びをまさにやってもらいまして、撮影しました。
私も、ラダックに来て、初めてものすごい効率のよさを目の当たりにしました。


ちなみに、今のところストックでは野良ロバは存在しません。

では、なぜレーでは野良ロバがいるのかというと、バザールや軍の施設があるため、食料になるゴミがでることが一つの原因です。つまり、これらのゴミがえさとなるので、飼い主たちも放し飼いをしてしまうらしいのです。

ストックでさえ、上記のような現状でロバの必要性が低下していますので、レーのような町を持つ村の整備具合を考えると、多くの人がこういった理由で必要性がなくなってしまっているのでしょう。
しかし、だからと言って捨てて良いかといえば、そうではないと思っています。持ち主を探し当てても、引取りを拒否するという現実があることも聞きました。どうしたものでしょう・・・。

基盤整備などの発展が言い訳になるとは思っていませんが、人間のいい勝手さやいい加減さがロバを時に事故に合わせたり、犬に攻撃されてしまっていることを、どう受け止めればいいでしょう。ロバのことを考えると悲しくなりますが、同じように発展を遂げた日本も、いつかの過程でそのようなことをしてきていることを思うと、一方的にラダックの、レーでの現状を攻められない自分がいます。

里親制度やドンキー・サンクチュアリーのシェルターの活動が今後も、こういったロバを救っていってほしいと願います。さて、自分にできることは何だろうか・・・。

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